〈目次〉
0.プロローグ
1.W杯決定 起点のプレー
イチかバチかのタイミング
2.世界的ビッグクラブ
バイエルン・ミュンヘンで刺激的な日々
3.悔しい思いを超えて
カタールから中南米へ
※ご覧のコンテンツは、2025年4月3日の
静岡新聞掲載記事を元に構成しました。





2026年サッカーワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会への出場権をかけたアジア最終予選。
その終盤戦―。3月のバーレーン、サウジアラビア戦で約9カ月ぶりに日の丸を付けてプレーした伊藤洋輝の姿には頼もしさが増していた。
今季から世界的ビッグクラブのドイツ1部のバイエルン・ミュンヘンに所属する長身ディフェンダーは、いずれの試合にもフル出場。W杯本大会出場に大きく貢献した。
「あの舞台に
もう一度立ちたい」
惜しくも、昨夏と同じ箇所のけがで再び長期離脱を余儀なくされたが、不屈の精神で立ち上がる。
いとう・ひろき
1999年5月12日生まれ、浜松市出身。
磐田ユースに在籍していた2017年5月に磐田とプロ契約。
2021年6月にドイツ1部シュツットガルトに移籍した。
2022年6月に日本代表初選出。その年のW杯カタール大会にメンバーに入り。グループリーグ第2戦のコスタリカ戦に出場した。
2024年6月にドイツ1部バイエルン・ミュンヘンに移籍。
188センチ、84キロ。





W杯本大会出場を決めたバーレーン戦の後半21分の先制点。
FW上田、MFの久保、鎌田と流れるようにボールがつながった起点に伊藤がいた。
それは、うまく攻撃の形をつくれなかった前半の反省を生かしたプレーだった。改善した縦パスがうまく上田に収まり、見事に相手DFを崩した。
この連係には伊藤もうなずいた。「イチかバチかのところもあったが、うまく持ち出したタイミングで綺世が下りてきてくれた」
長身の左利きDFは世界的にどのチームも欲しがる人材。
さらに、伊藤は正確なキックも魅力的で、対角の右サイドに送るロングボールも大きな武器だ。
今季から所属するドイツ1部バイエルン・ミュンヘンでは刺激的な日々を送る。
クラブの監督はイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・シティーやベルギー代表などで活躍した名DFのヴァンサン・コンパニ氏。
守備の基本からたたき込まれ、「DFの選手として成長したい」と意欲をにじませる。




伊藤にとってW杯初出場となった22年カタール大会。個人のパフォーマンスに納得しておらず、「悔しい思いをした」。
日本代表もベスト8入りを逃したが、伊藤は「決勝トーナメントは小さな差」と決して高い壁ではないと認識する。
W杯26年大会、日本代表は「優勝」を目標に設定した。開幕まで約1年2カ月。
今回の負傷離脱後、自身のSNSに「けがと批判に負けて終わるわけがない」と心境をつづった。
世界トップレベルの
環境で成長する
伊藤の復活を
待ち望んでいる。


